2002年第45回日本コンタクトレンズ学会
ジンポジウム
 [最新屈折矯正法・Which is the best?]

「オルソケラトロジー」
 吉野眼科クリニック 吉野健一


オルソケラトロジーは明らかにしなければならない点が多く、まだベストとは言えないだろう。ただし、ある一定の条件を満たせば、高い満足を得られる例があることも事実である。

 近年、オルソケラトロジーは屈折矯正の一つのオプションとして注目されている。その定義は、屈折異常を一時的に除去または軽減するために、RGPコンタクトレンズを使用して行う角膜のカーブを矯正する方法、といえる。その使用条件は睡眠中に六〜七時間の装用することで、起きている間は目的の矯正視力を保つというものである。現在使われているオルソKレンズは第三世代と呼ばれているもので、そのデザインは、オプティカルゾーンは6ミリの直径を持ち、その部分をベースカーブと呼んでいる。このべースカーブを角膜の表面に対してフラットに処方することによって、圧迫するという効果を持たせる。ベースカーブの周辺には0.6ミリ幅のフィッティングカーブがあり、ベースカーブに対してさらにスティーブなカーブを持たせている。この下に涙液層が保たれており、その涙液が装用中に外に出ることによって圧力がかかり、この部分の角膜の隆起を促し、さらにベースカーブの部分を押し下げる。

 オルソケラトロジーの矯正効果というものを考察してみる。矯正効果の原理をLASIKと比較すると、LASIKの角膜除去深度は、オプティカルソーンの直径の2乗にターゲットパワーをかけて3で割ったもの、と表せる。これに対してオルソケラトロジーの場合は、角膜の中央部を薄くする(上皮の厚さが薄くなる)わけだが、LASlKと比べて半分の効率で同等の効果が得られる。オルソケラトロジーは上皮を中央部で薄するのに加え、その周辺のフィッティングカーブ部では上皮が肥厚するため、さらに球面化を促し、効果があがるというわけである。

 オルソケラトロジーとLASIKを比較してみる。オルソケラトロジーの適応年齢は、教科書的には制限なしとあるが、果たして子供にまでレンズを装用していいのか、まだ分かっていない。LASIKは二十歳以上。矯正機序は、オルソケラトロジーは非侵襲的で、LASIKは侵襲的である。角膜の変化は、オルソケラトロジーは長くて一カ月で元に戻るので可逆的だが、LASIKは切除してしまうので非可逆的である。矯正量は、オルソケラトロジーはマイナス4Dまで。マイナス4Dを超えると結果はまちまちである。マイナス3Dまでなら良好な結果が得られる。LASIKはマイナス10Dまでである。

 当院の患者66眼について、マイナス4D以上と以下に分けて検討してみた。マイナス4D以下の近視だとO.8以上が71.1%、1.0以上が64.2%。それに比べてマイナス4D以上の近視だと、0.8が31.1%、1.0以上が19%と、達成率が落ちる。マイナス3D以下であれば平均視力1.0以上を達成することができたが、3Dから4Dの間だと.平均0.8となり、適応はマイナス4D以下が良いと感じた。

 まとめ。長期の安全性については、まだ解明されていない点が多い。角膜中央部が薄くなり、その周辺部が肥厚化するが、これが角膜の生理にどのような影響を与えるかは未知数である。また睡眠時装用による低酸素の影響も考えられ、長期に観察していかなければならない。また、近視の進行を予防する目的での装用が韓国や台湾で多く行われているが、その有効性は明らかではない。近視を予防するという効果は有意でないという研究結果もある。このレンズはご存知のように厚生労働省承認されていない。しかしながら消費者も眼科医も興味を持ち始めているという流れがある。この流れが止められない以上、正しく評価するのは眼科医であるという認識を強くする必要がある。

以上、週刊眼鏡新聞より抜粋(週刊眼鏡新聞協力)。
 

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