ブログ相談室

他院で行われた過度な矯正による不具合

2014年4月23日

▼送信内容

お名前 = ●●●●

年代1 = 30代半ば

性別 = 男性

ご住所 = 京都市●●●●●●●●

メールアドレス = ●●●●●●●●@yahoo.co.jp

ご相談内容 = ●●才代男性です。心臓血管外科医師をしておりました。10歳くらいか力低下を認め、35歳時に右-6.0~7.0 左-11.0でレーシック(フェムトレーザーレーシック+高速クロスリンキング)を受けることとしました。術後から左は不正乱視(ゴースト?)があり大変心配しておりましたが、術者はdata的にはたいしたことない、少し過矯正気味にわざとしているため、少しずつ良くなるとのことでした。しかし現在半年が経ちますが、右はちょうどよく1.0位に安定しているのですが、左は0.2まで低下し、不正乱視も少し悪化しております。再手術について聞いてみるともう少し待って(あと半年)視力が下がり止まったところで再度検討しましょうとのことでした。視力低下はなぜ左目だけおこるのかわかりませんが、今後どこまで下がり続けるのか不安です。また不正乱視のため心臓血管外科を辞任し、転科する事態となりました。貴院で他院での手術後の再手術可能かどうか、また現時点での先生の見解を教えて頂けますと幸いです。できるのであれば、診察だけでなく、手術もお願いしたいと考えております。何卒よろしくお願い申し上げます。

●●●●様:

お困りのことと御察し致します。

当院では、左眼の-11.0Dに対してレーシックを行うことはありません。日本眼科学会のガイドラインでも認められていません。(ガイドライン抜粋します:屈折矯正量について:近視 PRK については,前回どおり矯正量の限度を原則として 6 D とする.ただし,何らかの医学的根拠を理由としてこの基準を超える場合には,十分なインフォームド・コンセントのもと,10 D までの範囲で実施することとする.なお,LASEK(laser epithelial keratomileusis)および epi-LASIKによる近視矯正については近視 PRK に準じるものとする.)これを逸脱すると、残存角膜に十分な余裕を持てないため術後角膜エクタシアの起こるリスクが高くなることが懸念されます。一方で、安全性を担保するため、そして良好な裸眼視力を得るために、エキシマレーザーの照射径を小さくして角膜実質切除量を低く抑え角膜実質切除を行った可能性もあります。その結果、ハローやグレアが出た可能性もあります。また、レーザーの照射径が小さいと少しの照射ずれから不正乱視が生じやすいことも考えられます。もしかしたら、左眼の近視化が収まらないということ、そして不正乱視もあるということから、残存角膜厚の少なさに起因する角膜エクタシアが生じているのかもしれません。これは、角膜トポグラフィーの経時変化を見ることによりわかります。そもそも、クロスリンキングを行うのも、残存角膜厚が薄くなることによる角膜強度に懸念がもたれたからかもしれません。

角膜の薄さによる角膜エクタシアという合併症を回避するため、そして、視力の質を保つのであれば、当院ならICL(フェイキックIOL)をお勧めしました。

左眼に関しては、もうこれ以上エキシマレーザーで角膜を削ることはお止めになった方がよいのではないでしょうか?角膜エクタシアが生じていないのであれば、ICL(フェイキックIOL)で追加矯正する方がよいのではないでしょうか?

角膜エクタシアが生じているとちょっと話は厄介です。クロスリンキングを追加した上で、その後度数の変化が生じないのであれば、ICL(フェイキックIOL)。または、もう手術をしないのであればハードコンタクトレンンズ、またはそれができないのであれば強膜レンズ。それでも駄目なら最終的に、そして究極は角膜移植術ということになると思います。

当院で上記のどれを選択するかは、診察をしてみないとわかりません。

その結果、治療(再手術)ができるか否かを判断することになると思います。

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吉野眼科クリニック 吉野健一

〒110-0005東京都台東区上野1-20-10風月堂本社ビル6階

TEL:03-3839-5092, FAX:03-3832-3730

レーシックセンターURL: https://www.yoshino-eye-clinic.com/

吉野眼科クリニックURL: https://www.yoshino-eye-clinic.com

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吉野先生 御侍史

早々に、御返信ありがとうございます。

今まで他施設に御相談していたのですが、今までの説明の中で最も納得できました。

ご多忙の中でこのような御丁寧なご返答を考えていただいたこと自体、ありがたく思いました。そしてますます是非とも先生の診察を受けたいと思いました。

近日中に予約を取らせていただくと思います。

何卒よろしくお願い申し上げます。

●●●●拝

●●●●様:

もし、当院を受診するのであれば、前医のデータ(術前、手術条件、術後経過)をご持参いただけるとありがたいです。

吉野拝

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東京歯科大学眼科講師 日本医科大学眼科講師

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